バーンロムサイは、HIVに母子感染した孤児・遺児たちの生活施設として1999年12月、北タイ・チェンマイ郊外に設立されたのが始まりです。当時タイではエイズが猛威をふるい、治療薬も行き渡らず、多くの人が感染・発症し亡くなりました。エイズにより両親を失う子どもたちが増加、バーンロムサイにもバンコクとチェンマイの国立孤児医院からHIV/AIDSによる孤児たちが入園しましたが、開設から3年間で10人の子どもがエイズを発症し、命を落としました。
この頃「絵を描くこと」で何人かの子どもたちの免疫力を表す数値、“CD4” が上がって以来、私たちは絵を描いたり、ものをつくったりすることを意識し、力を入れています。当時子どもたちは薬だけではなく、沢山のボランティアや技術指導してくださる方々の協力もと「つくり出す力」に命を支えられました。
その後、医療の躍進的な発達により感染児たちは抗HIV薬の投与を続けており、現在も全員元気に暮らしています。母子感染自体が防げるようになった結果、2012年よりバーンロムサイにも様々な事情で孤児となった子どもや、親と一緒に暮らせない子どもたちが入園してきました。現在ホームで生活している30人の子どもたちには30の個性と可能性があります。人を思いやる心を大切に、気持ち良い大人に育ってほしい…そして、できることなら自分が得意とすることで自立してもらいたい。そんな親心からバーンロムサイは勉強だけでなく、色々な体験を可能にする取り組みを行なっています。
18歳を超えた子どもたちは園外で生活していますが、専門学校や大学に通っている子どもに対しては、学費、そして体調を崩した際のケアなどのサポートを続けています。子どもたちが無事に成長し、いつの日か社会に出て自立する時に様々な体験や技術が役に立ってくれればと願いつつ、困った時の “実家” として存在し続けたいと思っています。
開園当初からバーンロムサイをサポートしていた任意団体からスタートし、2003年に法人格を得た日本のNPO法人バーンロムサイジャパンは現在、エイズによる孤児たちの生活施設 “Ban Rom Sai Children's Home” 以外にも、様々な地域プロジェクトを立ち上げ、北タイの恵まれない環境にある人たちを支援しています。 “運営を寄付だけに頼るのではなく、少しでも自立したものにしたい” との想いから、ものづくりや宿泊事業を立ち上げ、これらを “家業” とし、子どもたちの自立に向けた職業訓練・就労の場を提供しています。
ものづくりやゲストハウスのサービス部門では隣国からの難民やタイ北部の少数民族を積極的に雇用することで地域社会に貢献しています。私たちは『買うこと、泊まること』で現在の消費文化が自然な支援につながることを目指し、社会に循環をもたらす仕組みづくりを念頭においた活動をしています。
23/1 Moo 4 T.Namprae, A.Hangdong, Chiangmai 50230 Thailand
〒249-0005 神奈川県逗子市桜山 7-3-32
www.banromsai.jp
ロビーラウンジではバーンロムサイの本や、当プロジェクトに参加いただいた写真家たちの作品集も閲覧できます。
また、バーンロムサイでは開設当初より、施設の運営に必要な経費を少しでも自分たちで稼ぎ出したいとの思いから ものづくりを始めました。当ホテルではバーンロムサイの商品の一部をご購入いただけます。